離婚後、連帯保証人は解除されない|解除法や解除できない時の対処法

2024年09月02日
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離婚後、連帯保証人は解除されない|解除法や解除できない時の対処法

三重県の人口動態によると2021年度の離婚件数は、6474件でした。離婚にあたって、トラブルのもとになりやすいのが住宅ローンの残債です。

特に、配偶者の借金の連帯保証人となっているケースでは、どのように解除すべきか不安に思われる方も多いのではないでしょうか。

連帯保証人は、離婚しても自動的に解除されるわけではありません。そのため、連帯保証人のまま離婚するのは危険です。今回は、離婚時に連帯保証人からどうやって抜けるのか、解除法や対処法についベリーベスト法律事務所 四日市オフィスの弁護士が解説します。


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1、離婚をしても連帯保証人が勝手に解除されることはない

配偶者が借金する際に、連帯保証人になっている場合、もう一方の配偶者にも返済義務があります。連帯保証人という地位は、離婚したとしても自然に消えるものではありません。

まずは、借金や連帯保証人とはどんな地位なのか基礎知識を確認しておきましょう。

  1. (1)離婚後、主債務者が滞納したら返済義務を負う

    離婚後、借金した当人(主債務者)が借金の滞納をしたら連帯保証人も返済の義務を負います。住宅ローン以外の個人的な借金であったとしても同様です。

    これは民法上、連帯保証人が主債権者と同様の支払い責任を負うことが定められているからです。したがって主債務者が返済できなくなった場合はもちろん、任意整理や自己破産などの債務整理を行った場合にも、連帯保証人に請求がくる可能性があります。

  2. (2)連帯保証人には責任を拒否する権利がない

    借金の「保証人」と「連帯保証人」には法律上の扱いに大きな違いがあります

    保証人の大きな特徴として、請求を拒むことができるという点があります。保証人には、以下の3つの権利が認められています。

    催告の抗弁 借金返済請求に対して、主債務者(借金した本人)に請求するように主張できる
    検索の抗弁 借金返済請求に対して、主債務者の財産を差さ押えるよう主張できる
    分別の抗弁 保証人が複数いる場合に返済金額を頭割りで分割するよう主張できる

    上記の通り、保証人には「請求を拒む」「一部のみ支払うことを主張できる」などの権利があります。ところが、連帯保証人にはこれらの権利がありません。このようなことから、「連帯保証人だけには絶対になるな」といわれているのです。

  3. (3)知らない間に連帯保証人になっていた場合

    自分の知らない間に連帯保証人になっていた場合には、原則として連帯保証契約が無効となり、連帯保証人から解放されることがあります

    たとえば、印鑑等を勝手に持ち出され、契約書に名前が書かれていた場合です。この場合は、本人の意思による契約ではないため「保証意思」がないとされ無効となるのが基本です。また保証契約は、法律上、書面で行う必要があるため、口約束での連帯保証契約は無効です。

    ただし、債権者に対して無効を申し立てない限り、自動的に連帯保証人から解放されるわけではありません。また、契約の請求に対して連帯保証人として1円でも支払いをしてしまうと追認したものとみなされ、返済義務が生じてしまう可能性があります。

    離婚後に身に覚えのない請求が来たら、無視はせず、支払いをせず、すぐに弁護士に相談しましょう

2、連帯保証人を解除できるケース

一般的には、連帯保証人の地位を解除することは難しいとされています。しかし、ケースによっては解除できる可能性があります。どのようなケースで連帯保証人から解放されるのか紹介します。

  1. (1)債権者等の同意が得られる

    債権者(銀行や消費者金融等)の同意が得られた場合には、連帯保証人の解除が可能です。状況等を考慮して、連帯保証人から解除してくれる債権者もいるかもしれません。

    ただし、離婚のみを理由に連帯保証人を解除してくれる消費者金融やクレジットカード会社は少ないと考えられます。そのため、下記に紹介する方法も検討してみましょう。

  2. (2)他の連帯保証人が立てられる

    代わりの連帯保証人が立てられた場合には、連帯保証人を解除できる可能性があります。たとえば、配偶者の両親などに連帯保証人を代わってもらうことが考えられます。

    しかし、連帯保証人は誰でもなれるわけではありません。借金返済の見込みがたつ一定の収入や資産を持っていなければ、債権者も連帯保証人として認めてくれないでしょう。そのため、両親が高齢であると、連帯保証人を代わってもらうことができないかもしれません。

  3. (3)ローンの残債が少ない

    ローンの残債が少ない場合、連帯保証人を解除できることがあります。残債が少ないとなれば、連帯保証人がいなくとも、完済できる見込みがあると判断される可能性が高いからです。

    もっとも、残債が少ないからといって必ずしも連帯保証人が解除されるわけではありません。その場合は「ローンの借り換え」を検討しましょう(3章で後述)。借り換えの際に連帯保証人にならなければ、返済義務はなくなります。

  4. (4)主債務者が担保の用意をできる

    主債務者が担保の用意ができた場合には、連帯保証人を解除できることがあります。

    たとえば、所有している不動産があれば、連帯保証人の代わりに不動産に抵当権を設定し、担保とすることで借金の保証をします。もし滞納した場合には、連帯保証人に請求をするのではなく、担保となっている不動産を差し押さえて、公的なオークションである競売で売却し、その売り上げから借金の返済をすることになります。

    ただし、借金の額と担保とした不動産の価格が釣り合う必要があり、債権者の判断によっては担保として認められず、連帯保証人の解除とならない可能性もあります。

3、離婚後、連帯保証人が解除できない時の対処法

離婚後、いつまでも連帯保証人でいると、知らない間に元配偶者が借金を滞納して、突然請求が来る可能性があります。以下3つの方法を参考に、少しでも早い対処をしましょう。

  1. (1)借金を完済する

    最初に考えられる方法は、借金を完済することです。借金を完済さえすれば、離婚後の滞納で請求が来るというトラブルは起こりません。しかし、住宅ローンや自動車ローンなど、借入額が大きいケースでは、一度に借金を完済することは容易ではないでしょう。

  2. (2)借金の借り換えをする

    借金の返済が難しい場合は、現在の借入先とは別の金融機関にローンの借り換えをする方法が考えられます。借り換えは新しい契約となるため、連帯保証人から解放されます。

    また、元々の借金も借り換えによって完済することができるため、連帯保証人として請求されることもなくなります。借り換えは、離婚の際に配偶者を連帯保証人から外すためによく使われる方法です。

  3. (3)住宅ローンの場合は任意売却する

    住宅ローンの残債額が大きく一括返済できない場合は、任意売却による借金の返済を目指しましょう。

    任意売却とは、金融機関の許可を得られれば、住宅ローンが完済していない状態でも家を売却できる手段です。差し押さえられて競売になるより高値の売却が期待できるため、売却額が住宅ローンより低かった(オーバーローン)としても、競売よりは返済額を減らすことができます。

    他方で、ローン残債より不動産価格の方が高い(アンダーローン)場合もあります。この場合、不動産を売ってしまえば、すぐに借金を完済することができるため、売却後は連帯保証人の地位から解放されます。

4、離婚時の条件交渉は弁護士に任せるのがおすすめ

離婚を考えている場合には、弁護士に条件の交渉を任せるのがおすすめです。その理由は、以下の3つです。

  1. (1)適切な条件を提示してもらえる

    離婚の際、財産分与や親権問題など双方の条件が合致せず、話し合いが膠着することがあります。そんな時弁護士に依頼をすれば、財産分与でどのくらいの金額にするのが妥当か、夫婦間での話し合いの落としどころはどこなのか、適切な条件を提示してもらうことができます。

    また、配偶者にいいくるめられて本来もらえるはずであった財産が分与されずに離婚してしまう、というケースも防ぐことができます。連帯保証人のトラブルに関しても、今度どのようにすべきか具体的なアドバイスを受けることができるでしょう。

  2. (2)直接交渉する必要がない

    離婚すると決まったのに何度も配偶者と顔を合わせて話し合いをするのは、精神的に大きな負担となります。弁護士に依頼すれば、話し合いを一任できるため、配偶者に会うことなく離婚手続きを進めることができます。また、電話やメール、LINEもする必要はありません。すべての交渉、話し合いを弁護士に任せることができます。

  3. (3)状況に応じて最善の解決策を教えてもらえる

    離婚の理由や家庭内の状況はさまざまです。離婚問題の解決実績がある弁護士にすれば、状況に応じて、最善の提案を受けることができます。たとえば、相手が不倫していた場合には、財産分与だけでなく、慰謝料請求の検討も並行して行うことができます。また、子どもがいる場合には、親権問題や養育費問題など離婚と関連するさまざまな問題についての解決策を求めることができます。

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5、まとめ

住宅ローンや自動車ローンなどの連帯保証人に配偶者がなっているケースはよくあります。

しかし、連帯保証人になったまま離婚してしまうと、突然返済の請求が来る可能性があります。離婚する前には弁護士に相談し、連帯保証人を解除することができないのか、離婚する時にどのような点に注意したらよいか、アドバイスをもらうことをおすすめします

ベリーベスト法律事務所 四日市オフィスでは、離婚問題や借金問題について実績のある弁護士が、あなたの状況に合わせたアドバイスや解決を一緒に考えます。お困りごとや不安なことがあれば、まずは当事務所にご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています